大判例

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福岡高等裁判所 昭和38年(う)261号 判決

判決理由〔抄録〕

本件事故は、被害者が、その乗用する原動機付自転車を道路中央線から右側(その進行方面から見て、以下同じ)の被告人の自動車の進路に進入させ、なおその進路を左側に転じないで、そのまま相当の速力をもって、被告人の自動車に対向接近したことが、最大の原因であると認めるべきであるが、かかる場合通常ならば、被告人の自動車の前照灯の照光を認め、直ちに道路中央線(夜光式道路鋲が嵌め込まれている。)から左側に進路を転じ、被告人の自動車との衝突接触等の事故を避ける措置をとるのが当然であり、またそうすれば、本件のような事故は起らなかったと認められるのであるから、被害者の前記行動は、被告人にとって通常これを予期し得ないことと認めるべきであり、しかも被告人は被害者の自転車と二〇メートル余の距離を存して急停車の措置をとったが及ばなかったものであって、かかる事態においてもなお自動車運転者に対し、これに対処して事故発生を回避すべき万全の運転方法を要求するが如きは、いささか苛酷な運転上の注意義務を課する結果となり、結局本件において、被告人のとった運転方法について注意義務の欠缺を責めるのは、当を得ないというべきである。

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